塩釜が新しくなりました。なんとチタンに!


何だかんだと難航している塩炊き再開ですが、やっと目処がたってきましたよ。

黒潮農場は、最初から最後まで釜炊きでして、大きめの粗炊用の釜と、と小さめの仕上げ炊きの釜を分けています。
ステンレス製の仕上げの釜もそろそろ寿命で、修理が必要かなと思っていたのだけど、その前にメインの粗炊きの釜のメッキが剥れはじめてしまいました。
釜のことは話せば長くなるんだけど、専売公社解禁後に手づくり塩を炊き始めた人達なんかは、鉄の釜を使っていました。
それにならって、最初は鉄製の釜を試みたんだけど、錆が止まらず、塩に色が付いてしまい断念。
なぜ、昔の鉄釜は塩が炊けたかといえば、よく分かりません。鋳物の銃鉄の成分が違ったとか、諸説聞きましたがはっきりしません。
戦前に作られた五右衛門風呂が、山中に放置されているにも関わらず、表面は錆びているけど、錆が進行せず腐食しないまま使える状態で残っているということがあるらしいのですが、今の五右衛門風呂ではそんなに長持ちしません。そのことと何か関係があるのか。
銃鉄は炭素の含有率が高いので、析出した黒鉛が皮膜を作るのか、はたまた錆びやすいけど、表面の錆の種類によって内部まで進行しないのか、よく分かりませんが、鉄でも最初は錆びるけど、錆が安定して、それ以上錆びない、水も濁らないという状態になったようですが、僕はダメでした。

鉄釜を諦め、その後、ステンレスの釜を試しましたが、1年ほどで壊してしまいました。補修しながらその後も使ったのですが、結局ダメでした。
ステンレスという金属は錆に強いのですが、実はSCC(応力腐食割れ)という大きな弱点があって、SCCは、熱、張力、塩化物水溶液が組み合わさると、ステンレスとしての耐食性を発揮できないというものです。
40年前はまだSCCが発見されておらず、その後、原発などのプラントのステンレス配管でSCCによるトラブルが続出。今では、高温、高圧、塩水の環境でステンレスが使われることはなくなったそうです。
ステンレスの場合でも、応力の掛かりにくい、10mm近い鉄板を使えば、寿命もかなり長いと思いますが、10mmのステンレス鋼板なんて、材料だけで50万円を超えてしまいますから、ちょっと手が出なかったです。(それでも何年持つか分からないし)
そこで、現在プラントで主流になっているのが、鉄材にアルミの蒸着メッキを施すというアルマーめっきなのですが、親の勧めもありアルマー釜にすることにしました。
アルミ食器問題などありましたから、正直、拘りの塩をつくるのに、アルミはどうなのかとも思いましたが、問題になるような溶出はないということだったので、これを使ってきました。

そして、このたび、このアルマーめっきも剥れてしまいました。
最低10年は持つだろうと言われていたのですが、意外と寿命が短かったです。
そして何故、こんなに早くメッキが壊れたのか調べてわかったのが、濃度電池(濃淡電池腐蝕)というもの。
電蝕現象の一種なんですが、一つの金属が、イオンや溶存酸素濃度の異なる液中に入ると、濃淡を原因とする電位差が起きてしまい、局部腐蝕するというもの。
塩釜の中は、結晶化したカルシウムや海水中の成分が沈殿して固まったりしていますから、濃度の濃淡なんてそれはそれは激しいものです。今後は、なるべく濃淡を作らないという工夫も必要かもしれません。
そんなこんなで、どうしたものかと悩んでいたのですが。
なんとなんと、最終的には特注のチタン製の釜を新調することになりました!!!
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チタンは、強力に安定した酸化皮膜により、ほぼ腐蝕しないという夢のような金属です。
チタンで塩釜を作るという話は聞いたことがあり、理想的な材料だと思っていたけれど、なにせ高額すぎて選択肢にはなかった。
チタン加工を営む(奥さん方の)親戚の伯父さんのご好意で、(結婚祝い?として)チタン製の釜をプレゼントしていただきました。
北九州門司にある山一製作所というチタン加工、特に熱交換器では業界トップの実績を誇る会社なんですが、3mmの純チタンを曲げと溶接で作ってあり、かなりしっかりした作り、溶接も本当にきれいで、一生モノどころか、孫の代まで使えるのではないかという代物です。
何と、お礼、お返しをしたらいいものか。本当にありがたい話です。
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釜の据付が終わり、今、小屋を作っているところです。早く、いい塩が炊けるように頑張ります。

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