FX会社を選ぶ要素はいくつかありますが、中でも重要となる「スプレッド」と「スワップポイント」について解説します。
コスト管理に必要なルールなので、FXをこれから始めようという方は必ず理解しておきましょう。
スワップポイントとは
スワップポイントはFX独特のルールです。
スワップポイントは金利差調整のためのもの
スワップポイントとは、外国通貨を保有する際に、通貨間の金利差を調整するためのものです。「金利差調整分」と呼ばれることもあります。
金利が安い通貨を売り、金利が高い通貨を買えばスワップポジションを受け取ることができます。逆に金利が安い通貨を金利が高い通貨で買うと、スワップポジションを支払うことになります。
例えば米ドル、円の場合を見てみましょう(2022年3月時点)。
・日本円金利 -0.1 %
・米ドル金利 0.25 %
このとき、米ドル円(USDJPY)ペアを「買いポジション(米ドルを円で買う)」で保有すると、スワップポイントを受け取ることができます。
金利差がそのままスワップポイントとなるわけではなくFX会社によって異なりますが、基本的には金利差が大きい通貨ペアほどスワップポイントは高くなります。
ポジションの保有によって発生する
スワップポイントは取引ごとに発生するものではありません。
そのためスワップポイントが高い通貨ペアでポジションを保有していれば、そのまま取引せずに放置しておくだけで収入が得られます。
毎日発生する
スワップポイントは基本的に毎日発生します。日をまたいで保有した場合に発生するので、デイトレードなどポジションをオープンしたその日のうちにクローズさせた場合は発生しません。
土日など休業日にも発生しますが、FX会社が休業日の間に発生したものについては、別の日にまとめて受け取ったり支払ったりされます。
どのくらいの金額になるかは、各社のスワップカレンダーで確認できます。
スワップポイントの注意点
スワップポイントの注意点を2点解説します。
マイナスになることもある
スワップポイントは毎日付与されますが、金利差とポジションによっては、マイナスになる、つまり徴収されることもあります。
例えば外為ex での米ドル円の2022年4月1日のスワップポイントは、買いポジションでは10,000通貨あたり18円のプラスです。
しかし売りポジションの場合は38円のマイナスとなっており、もし売りポジションを保有するとスワップポイントを徴収されてしまいます。
また政策金利の変動によって、それまでプラスだったスワップポイントがマイナスに転じることもあります。
課税対象になる
スワップポイントで得た収入は、付与された時点で課税対象になります。
スワップポイント単体で年間数十万円の収入になることはほぼありえませんが、ほかに副業などの収入がある場合は確定申告が必要になることがあるので注意しましょう。
スワップポイントの高い通貨ペア
FX会社によりますが、トルコリラ(TRY)は法定金利が14%と非常に高く、トルコリラを含むクロスペアはスワップポイントが高い傾向があります。
国内のFX会社を見てみると、トルコリラ円(TRYJPY)のスワップポイントは米ドル円の約2倍です(2022年4月8日時点、10,000通貨)。
FX会社 | 米ドル円(USDJPY) | トルコリラ円(TRYJPY) |
松井証券 | 11 | 23 |
SBI FXトレード | 15 | 22 |
トライオートFX(インヴァスト証券) | 19 | 23 |
スワップポイントは毎日付与されるので、例えば1日22円で1年間変動がなかった場合、ポジションを持っておくだけで年間8,000円程度の利益につながります。
スプレッドとは
FXのスプレッドは、買値と売値の価格差です。
FXで取引を行っていると、1つの通貨ペアに対して買値と売値が設定されていることに気付くと思います。
たとえば、ドル円において「買値(Ask)が120.55円」、「売値(Bid)が120.53円」のような感じです。
通常は、買値の方が売値よりも高くなっています。
スプレッドは買値と売値の価格差なので、上記の例だとスプレッドは「120.55円-120.53円=0.02円」です。
つまり、買い注文や売り注文を入れた時点で0.02円の損失が発生していることになります。
FXは、注文時に発生しているスプレッド分の損失を回収しながら利益を出します。
0.02円のスプレッドなら、0.02円以上の利幅を取らないと利益を得ることができません。
スプレッドが狭いほど注文時の損失も少なくなり、小さな値動きでも利益に転じやすくなることから、FXではスプレッドの狭さが重要と言われています。
スプレッドについて解説します。スプレッドはFX以外の商品でも使われる、投資の基本ルールです。
スプレッドとは売買の価格差のこと
FX会社は外部から外貨等を購入して、それに手数料などのコストを上乗せして投資家に販売します。
また買取(投資家からの売却)のときは、コスト分を差し引いて買い取ります。
このコストの上乗せ、差し引き分が売買金額の差であり、スプレッドです。
スプレッドは狭いほうがいい
スプレッドはコストなので、狭いほうが投資家に有利です。
ただスプレッドはFX会社の運営資金でもあります。極端に狭いスプレッドは会社の運営資金を犠牲にしている可能性もあるので、注意しましょう。
変動と固定がある
スプレッドには大きく分けて「変動スプレッド」と「固定スプレッド」の2タイプがあり、同じFX会社でも口座タイプや商品によって異なります。
日本国内のFX会社の多くは固定スプレッドですが、海外FX会社では変動スプレッドを採用しているところが一般的です。
別途徴収されるものではない
スプレッドは手数料に近いものですが、取引手数料の様に取引ごとに別途徴収されるものではありません。
そのため「見えない手数料」とも呼ばれます。
「取引手数料無料」と謳っていてもスプレッドが広ければ損をすることになるので、FX会社を選ぶ際にはスプレッドを必ず確認するようにしましょう。
スプレッドの注意点
スプレッドの注意点を解説します。
取引量が少ない通貨はスプレッドも広い
通貨の取引量が少ないペア(「エキゾチック通貨ペア」と呼ばれることもあります)は、スプレッドも広く設定されています。
たとえば米ドル円とトルコリラ円の場合、広いところでは30倍の差があります。
FX会社 | 米ドル | トルコリラ |
楽天証券 | 0.2銭 | 6.8銭 |
みんなのFX | 0.2銭 | 0.9銭 |
マネーパートナーズ | 0.0銭 | 1.0銭 |
またFX会社によっては、トルコリラのみ変動スプレッド制とするなど、個別対応しているところも珍しくありません。
トルコリラはスワップポイント狙いとして人気がありますが、スプレッドは非常に不利であることを留意しておきましょう。
時間帯や突発的なイベントでスプレッドが広がる
マーケットの投資家が少ない時間やイベント時は、スプレッドが広がりやすくなります。
・日本時間の早朝
・ホリデーシーズン
・経済指標発表前後
・突発的な事件(紛争、大型破産など)
日本時間の早朝やホリデーシーズンは、取引を休んでいる投資家が多いタイミングのためスプレッドが広がりやすくなります。
特に早朝時間帯は、固定スプレッドを採用している国内のFX会社でも、通常時の10倍程度のスプレッドを設けているところが少なくありません。
また米国雇用指数など経済関係の大型指標発表の前後や、紛争など世界経済に大きな影響のある事件が発生したときもスプレッドが広がります。
そのような場合は固定スプレッドの会社や口座を使うことで、変動の影響を抑えながら取引することが可能です。
低スプレッドのFX会社
以下のFX会社では、ゼロスプレッド口座を提供しています。ただし別途手数料がかかったり、相場変動時はスプレッドが広がったりすることもあるので、口座のルールを確認しておきましょう。
・XM trading
・FBS
・HotForex
・GemForex
・exness
まとめ
スワップポイントとスプレッドについて解説しました。
スワップポイント 金利差の調整のために投資家に支払われたり投資家から徴収したりするもの
スプレッド 売値と買値の差。狭いほどコストを抑えられる。
どちらもFX会社や通貨ペアによって異なる設定になっています。基本を理解して上手に利用するようにしましょう。